【ネタバレ有】愛を描くミュージカル「マリーゴールド」

序盤ネタバレなし、ネタバレのターンが来る前にワンクッション挟んであります。

あと結構長いです。

 

グランギニョル」のネタバレ記事もよかったら読んでください♡

hatimitu0126.hatenablog.com

 

ネタバレのない序文

8月29日夜公演、30日夜公演見てきました。

29日は2階席、30日は1階3列目というなんともえげつない格差を体験(笑)

本当はライブビューイングも行きたかったんですけど、劇場で初日を迎えたくて諦めました。

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戯曲集も無事に入手成功です♡

事前物販開始~30分後くらいまででしたら入手できる可能性はありますが、確実に入手したい方は開始1時間前くらいから並んでおくと安心だと思いました。

・・・戯曲集よりもファルスがメインの写真、こちらのキーホルダーは工藤遥ちゃんがモーニング娘。及びハロープロジェクトを卒業した時に販売された”FSK”です。

新作が出るたびに早朝から並ぶオタクが続出している今ハロプロで一番人気(!?)のグッズですね。

TRUMPシリーズでも出してほしくて、アンケートのグッズ希望欄に書いてきました(笑)

 

そういえば、劇場の前に可憐なお姉さまが札を持って立ってたんです。

なんだろう?と思ったら、壮さんのファンクラブのチケット引き換え案内の方でした。

た、宝塚出身だとスタッフさんまでこんなに可憐なのか、たまげたなぁ・・・と思いました。笑

 

さて、そんなくだらない話は置いておいて、そろそろ感想部門へと行こうと思います。

ネタバレ有の感想・考察

※以降全力のネタバレがあります

※「マリーゴールド」他、必要がある限りTRUMP関連作品すべて容赦なくネタバレします。

※観劇前の閲覧はまったくオススメしません

※本当にネタバレ大丈夫ですか?

※ストーリー順に並んでいないので読みにくい可能性大

 

・・・何から書けばいいのやら、かなり迷いますね笑

 

・全体のストーリーをざっくり振り返り(ちょっと長いよ)

25年前、クランを抜け出した少年ヤン・フラは「あのクランはおかしい、一緒にいた少女シルベチカが咬まれた」と語る。

そして追手も振り切り、その後二度と姿を見た者はいなかった。

 

マリーゴールドが咲く屋敷で暮らす”ダリ・デリコ”と名乗る小説家のアナベルと、その娘であるダンピールのガーベラ。

ガーベラは町の人々から「窓際の化け物」と呼ばれていて屋敷に幽閉されており、屋敷に出入りするのは主治医であるヘンルーダアナベルの妹エリカ、そしてアナベルの担当編集であるコリウスだけだった。

ガーベラだけでなくアナベルもまた「化け物と交わった女」として町の人々から忌み嫌われているため、”ダリ・デリコ”の正体はコリウスと編集長しか知らない。

 

ある日街に出たアナベルは自身のファンだというソフィとウルという少年に出会う。

TRUMP伝説を題材とした小説を書き、繭期少年少女失踪事件の資料も秘密裏に手に入れているアナベルが疑似クランに辿りつくのではないかと危惧したソフィは偵察・殺害に来たのだった。

しかし、そこでガーベラの存在を知らされたソフィとウルはクランに勧誘するためガーベラに会いに行き、そのまま屋敷を出たことがないガーベラを連れて街へ飛び出してしまう。

その飛び出した先でガーベラはエリカを咬み、さらにその場にいた人間を咬み殺す事件を起こし、拘束される。

エリカは血清が効き無事だったものの、その裏でコリウスに警告を出していた血盟警察のベンジャミンが小説家”ダリ・デリコ”の正体を世間にばらしてしまった。 

 

一方、コリウスヘンルーダに「お前は空っぽだ」「アナベルの過去に一体何があった」と詰め寄っている。

ヘンルーダは自身がクランから逃げ出して人間の夫婦に拾われたヤン・フラという吸血種であることを打ち明け、ガーベラの父親は自分であることを話した。

 

拘束されたガーベラは街の人々の目の前で処刑寸前だったが、ソフィとウルが人々を咬み殺し、ヘンルーダが時間稼ぎの為に街を燃やしたその隙に逃げ出す。

この惨事でソフィが不老不死であることを知ったアナベルは、ガーベラに永遠の命を、とソフィにお願いするもガーベラは「永遠なんてクソ喰らえよ」と一蹴り。

身に覚えのある台詞を吐かれたソフィは取り乱し、寄り添うウルに対し「君は友達なんかじゃない。もうウルごっこは終わりだ、キャメリア」と呟く。

その後ヘンルーダはキャメリアに刺され死亡、コリウスもまたガーベラとエリカを守り死亡したが、アナベルだけはソフィに咬まれヴァンプへと転化してソフィのイニシアチブ下となってしまう。

ガーベラを疑似クランへ連れて行きたいソフィは「君の願いを叶えてあげる。でもその前にガーベラには親離れしてもらわなくっちゃ!」と語った。

エリカとガーベラはまだ火が回っていない屋敷へ逃げ込みアナベルと再会するも、アナベルはソフィのイニシアチブによりガーベラに襲いかかり、ガーベラを庇ってエリカは死亡。

アナベルの姿を見て「母の愛こそが生きる意味」「あたしは希望」だと語るガーベラに対し「あなたは誰にも愛されちゃいけないし誰も愛しちゃいけない。あなたを生んだのは間違いだった」とアナベル

最愛の娘にそう言いながらナイフを振りかざすアナベルは、最後にイニシアチブに逆らい「私にあなたを殺させないで」とガーベラに呟き、それを聞いたガーベラは自ら母親を刺したのだった。

「あなたを殺させないでくれたのね、ありがとう」と言い娘を抱きしめたアナベルはそのまま死亡した。

 

その一部始終を見届けたソフィは「ガーベラ、クランへ行こう」と誘うも「私はガーベラなんかじゃない」と返される。

それに対し「じゃあ君は誰なんだい?」とソフィが問うと「マリーゴールド」「母さんと一緒に希望は死んだのよ」と語る。

マリーゴールド花言葉絶望

 

・舞台上のマリーゴールド19本

大きなマリーゴールドが飾られている舞台セット、本数は19本でした。

そして今回の出演者はアンサンブルキャストも合わせまして18人です。

18本の絶望が飾られているわけですが、では、あと1本は?

おそらくこの世界のすべてを司る、たとえその場にいなくとも誰かの中に、世界のどこかに存在しているクラウスでしょう。

ちなみに劇中でガーベラに襲われた死者が13人、そしてその後様々な理由で亡くなったのが5人、合計18人で、そこにガーベラを足して19本という意見もあるみたいです。

真偽はされど意図があっての19本ということに変わりはないですね。

 

拍手のタイミング

ミュージカルといえば、歌い終わった後に拍手をします。

開演後に気がついたのですが、私は拍手が入ると現実に引き戻されるというか、舞台を見ている私たちを意識させられてしまうんです。

TRUMPシリーズは特に物語に没入するタイプの作品なので、ストレートが好きな人にとってはそこが致命的な弱点になってしまう。

それを意識してかどうかはわかりませんが、特に後半は歌の終わりにすぐ別の音を入れたり台詞を入れたり、観客が拍手をするタイミングを与えられませんでした。

それがミュージカルに慣れていない私にとってはとてもありがたかったです。

 

LILIUMはアイドル舞台としてのミュージカルでしたが、マリーゴールドは曲が始まった瞬間、これガチのガチで本格ミュージカルだ!と思いました。笑

キャッチーで覚えやすい曲が多いLILIUMと違い、歌にのせて台詞を言っているマリーゴールド

作曲者・和田さんの幅の広さには本当に驚かされてばっかりですね。

ただ、感想書き始めてさっそくなんですが、私はLILIUMの方が好きです。笑

ミュージカルもいいけど、私はやっぱりストレートやわかりやすいアイドルミュージカルが好きなんだと気付いたので、次回作はぜひストレートでやってくれるとありがたいなぁ・・・笑

 

ガーベラ=マリーゴールド

末満さんのことだから、”ミュージカル「マリーゴールド」、なおマリーゴールドとガーベラが同一人物とは言っていない”、みたいなシステムも想像していたのですが、ちゃんと同一人物でした。笑

今回はミュージカルにしたい、と末満さんが思ったのはやっぱり田村芽実ちゃんを主役として置くからだったのでしょうか?

末満さんがこの世でもっとも信頼している19歳、田村芽実ちゃんの魅力を最大限に生かすには歌が必要不可欠なんですよね。

ステージの上でガーベラとして必死に、いやガーベラ的には慎ましく?生きてやろうという意気込みがお芝居や歌を通してめいめいから伝わってきました。

 

・2800年前に生きていたとされるヴァンプ”ダリ・デリコ

アナベルの小説家としての名前は「ダリ・デリコ」なぜこの名前にしたんでしょうか?

血盟議会の長として、グランギニョル事件や2800年前のクラン焼失事件の参考人物として記録されているであろうダリちゃん。

秘密裏に得た情報の中で、ダリちゃんの何がアナベルに響いたのか、気になります。

とはいえ、いつの時代の話なのかを客席に伝えたり、シリーズと何か関連付けさせたりしたくて一番ふさわしい名前を選んだだけの可能性もあります。笑

デリコ家とフラ家、父親同士は腐れ縁のような同僚でありライバルであり友人関係、その息子同士は元々仲が良かったはずなのにクラン占拠事件(気になる!)をきっかけに決裂。

それがまさか2800年の時を経て”ダリ・デリコ”と"ヤン・フラ”で夫婦?になるなんて、切っても切れない関係なんですね。

 

コリウス先生」ソフィ「・・・!!」

ダリ・デリコ先生関連、街中で絡まれるアナベルを助けたコリウスが口走った「先生」というワードに、遠巻きに2人を見ていたソフィは「ハッ!」と反応して後ろを振り返り、ウルと目を合わせました。

そして「聞いた?」「うん」という会話をしていたのですが、それがめちゃくちゃにかわいかったです。

今回のソフィウル、前半は割とネタ要員でメイン人物の中では唯一の賑やかし担当でしたね。

ただ後半ではそんなの忘れさせるくらいの狂気的な笑顔が印象に残っています。

 

・ネガティブ人間種?コリウス

最初は柔和な笑顔に丁寧な語り口でしたが、徐々にその仮面は剥がれて、一番人間らしい感情の裏表を見せてくれたのがコリウスだったと思います。

それを自分と同じような気がすると見抜いていたエリカはすごいし、”嘘の笑顔を張り付けている”の振りで、エリカがコリウスの頬を持ち上げる仕草と同時に嘘くさい笑顔を作るコリウス、あのシーン結構好きでした。

 

ダンピールをおぞましく思っているコリウスは最終的にはガーベラに対して「ひとつだけ約束してくれ。幸せになってほしい」と語りかけます。

でもそれは決してガーベラの為の言葉ではなく、「それがアナベルの幸せだから」と続くんですね。

更にガーベラを目の前にして「ヘンルーダより先に出会いたかった。そうしたらアナベルもエリカもみんな幸せにしてあげられた」と言いました。

その”幸せ”の中にアナベルヘンルーダの間に生まれたガーベラは存在出来ないんです。

最後まで自分主義を貫き通し、自分と好意を寄せるアナベルの幸せだけを願うコリウスは、人間の嫌な部分というか結局自分が幸せならそれでいいという誰しも持っている醜い感情を具現化したような人物でした。

TRUMPシリーズ、題材はファンタジーだけど登場人物がどこまでもリアルっていうのはこういうところなんですよね。

 

アナベルの台詞で1つ気になったのは序盤でコリウスに向かって言っていた「私はあなたを利用する、あなたも私を利用する」という台詞です。

これは小説家として情報を手に入れたり本を売ってもらったりするアナベルと、売れっ子作家の真実を隠しながらお金を稼ぐコリウス、という意味にも取れます。

しかし、アナベルコリウスの気持ちを知っていてその気持ちを利用して真実を隠し作家として食べていくこと、一方のコリウスは編集としてアナベルの傍にいられる、という意味にも取れるのではないでしょうか?

ちなみにコリウス花言葉は「叶わぬ恋」だそうです・・・。

 

コリウス演じる東啓介さん、「グランギニョル」で初見だったのですが1年でお芝居に磨きがかかり、歌も他の宝塚や東宝ミュージカル経験者たちに負けず劣らず上手かったです。

2.5次元舞台に置いておくには勿体ないくらいの役者さんだと思ったので、これからの活躍にも期待できると思いました。

個人的にナベプロ所属の役者さんはどうしても応援したくなります。笑

グランギニョル」では繭期を越えたポジティブダンピールとして生きてきたのに「マリーゴールド」ではダンピールを忌み嫌う人間種になるだなんて、皮肉ですね。

 

・「気持ち悪い!

エリカが善人を装うコリウスに向かって吐いたこの台詞、エリカはソフィたちからガーベラを庇った時にガーベラに言われています。

ガーベラ→エリカ→コリウスという図になりますね。

アナベルの幸せのためにガーベラを肯定しているフリをするコリウスと、アナベルが困らないようにガーベラに近づく者から庇おうとするエリカ。

エリカが自分でコリウスに言ったように、そういうところが似てるのだと思いました。

 

・「僕はソフィ・アンダーソン」「僕はウルだ」

ガーベラへの自己紹介の時にソフィはファミリーネームを名乗りましたが、ウルは名乗りませんでした。

更にTRUMPから約2800年後のお話ということで”ウル”が”ウル・デリコ”ではないことは簡単に想像がつきます。

そしてソフィに三津谷亮さんがキャスティングされている時点で、”ソフィ・アンダーソン”本人であることも間違いない状況でした。

でも、ウルがキャメリアだったのいうのは、私は想像がつかず驚きました・・・。

確かにLILIUMで唯一ファルス以外で舞台上に出てきた男子キャラ、ソフィと仲がよさそうな雰囲気だったので、察しの良い方は気付いてたと思います。

LILIUMの衣装は黒い生地が占める割合でファルスとの同化の進み具合を表していたようですが、確かにキャメリアは黒い生地が多いですし、疑似クランの監督生でもあります。

ソフィがキャメリアを”ウル”に選んだ理由はそこにありそうだと思いました。

 

※追記

ウル役はお外に出るたびにランダムに選んでいるそうです。

それがマリゴの時はたまたまキャメリアだったみたいですね。

 

 

・LILIUMは正伝であり外伝

ソフィのキャスティング関連の話です。

末満さんが過去のライブ配信でLILIUMは続編のようでもありパラレルワールドのようでもあり、そういう作品を作ろうとして出来たというお話をされていたみたいなんですが、その意味はTRUTHとREVERSEという独特のWキャスト制度にあるんじゃないかなあと思いました。

今回のソフィはD2版TRUMPのREVERSEでソフィを演じていた三津谷亮さんです。

つまりマリーゴールドとLILIUMはREVERSE世界(三津谷ソフィ)の正伝であって、TRUTH世界(西井ソフィ)では外伝として扱われるのではないでしょうか。

そもそもは「どうせヴァンプ物をやるならTRUMPの世界観を引用した、半分パラレル半分続編みたいなのやりたいな~」っていうぐらいの軽い発想からだとは思います。

ただ、たくさんのシリーズ作品が出ている現状で、REVERSEキャストが演じたことを含めてあえて考察するとなると、REVERSEの正伝という所に落ち着きました。

もちろん、キャスティングにはスケジュールや表現力、今回はミュージカルなので歌唱力など様々なことを含めて考えられているのが前提ですけどね。

 

永遠なんてクソ喰らえよ

 └「君は僕であり、僕は君なんだ」

 └「化け物」と呼ばれて

ソフィに向かってガーベラが吐く台詞は聞き覚えのあるものがたくさんありました。

その中でもソフィに大ダメージを与えたのは「永遠なんてクソ喰らえよ」という言葉。

この言葉はかつてソフィがクラウスに向かって投げ捨てた台詞でしたね。

永遠なんてクソ喰らえだと思いながら生きているソフィに、いずれ死が訪れるガーベラがそんな台詞を吐いたら、そりゃあダメージ受けますよ。

 

ガーベラとソフィは初対面から特別な何かをお互いに感じ取っているようでした。

ガーベラは初対面の時もソフィの目の前で死ぬ時も同じ台詞を言うんです、「あなたも私とおんなじね。可哀想な人」と。

そしてソフィもガーベラに向かって「君は僕であり、僕は君なんだ」って言ったんです。

「窓際の化け物」と呼ばれていたガーベラですが、ソフィもLILIUMの劇中でキャメリアから「この化け物め!」と言われています。

同じダンピールで、屋敷に幽閉されているガーベラと永遠の世界に閉じ込められてしまったソフィ、似た者同士なんですね。

 

そういえば再び衣装の生地問題で、ソフィとガーベラは白が使われていたような気がします。

他の人間種も吸血種も暗めの色が使われていて、薄い色でも白は使われていなかったように見えました。

紫蘭と竜胆も白いは白かったのですが、LILIUMの再現だということで説明させてください。笑

 

星の轍

これもD2版TRUMPを見た人なら息を飲んだシーンだったと思います。

ソフィが「永遠なんてクソ喰らえよ」と言われたあとのシーンで「キャメリア、何か歌ってくれないか」と言い、キャメリアの選曲はまさかの星の轍。

D2版TRUMPに出てきたクランの仲間たちも衣装や髪型そっくりで出てきました。

この曲はどの時点の誰目線の曲なんでしょうか。

このタイミングで歌われたということは、ソフィ目線の歌なんですかね?

 

星の轍は置いておいて、虜のペンデュラムには「朽ちぬ命の歌を奏でながら ただ星を求めて」という歌詞があります。

まさに今この状況って感じでした・・・。

 

・ヤン・フラフラ家存続してたの?

 └ ガーベラはキキの子孫、てことは・・・?

TRUMPシリーズで"フラ"ときたらおそらくゲルハルトやアンジェリコの家系・・・ですよね。

しかし、ゲルハルトは子を成すことができない体で、アンジェリコはクラン焼失事件で繭期の間に亡くなっています。

フラ家はどうやってその血を繋いだのでしょうか?

ついでに言うと、ヴァンプであるキキの子孫がガーベラだとすると、アナベルは人間種ということで、自動的にキキの血を受け継いでいるのはヤン(ヘンルーダ)ということになるんです。

2800年の間にフラ家とキキとその子孫に一体何があったんでしょうか・・・舞台化でも小説でも何でもいいからその辺の解説をお願いします、末満さん。

 

・ヤンとシルベチカリコリス

 └ キャメリアに殺されるヘンルーダ

ヤンが擬似クランで出会った少女の名前はシルベチカ、LILIUMに出てきたあのシルベチカです。

擬似クランに入り、ソフィに咬まれたシルベチカは同じく咬まれそうになったヤンをイニシアチブに逆らい助けました。

そこで思い出すのは二輪咲き、ですね。

二輪咲きに出てくるリコリスという少女は、皆が忘れてしまったピーアニーのことを覚えていたり、キャメリアにシルベチカと呼ばれていることからソフィのイニシアチブ下に置かれていない二重人格だと予想されます。

そうなるとこの時シルベチカがイニシアチブに逆らえた理由は説明がつきます。

 

では、ヤンを助けたのはリコリスだとして、なぜ助けたのかを考えてみました。

①キャメリアとリコリスの仲を裂く要因になるから

これはキャメリアとリコリスが既に親しい関係にあることが前提となるので今の段階ではわかりません。

ただキャメリアとリコリスの仲が確定した場合はこの説が一番濃厚だと思います。

②ヤンが好きだったから

これも人前でいちゃつくのが平気だったり、チェリーの恋路を助けようとするシルベチカをチェリーから引き離したり、自己中心的で嫉妬深そうなリコリスの性格を考えると違いそうです。

それに出会ったばかりでイニシアチブに逆らえるほどの強い愛情があるとも思えません。

③シルベチカが好意を寄せる可能性があったから

リコリスが自分(と、シルベチカ)の邪魔になりうる存在だと察知して逃がした説が今のところ一番しっくりきました。

短いシーンで感情の動きはわかりませんでしたが、ヤンに優しく語りかけるシルベチカを見ていると、月日が立って仲良くなればシルベチカはヤンを好きになっていたかもしれません。

そうなるとリコリスにとってはシルベチカを操作するのが難しくなったり、シルベチカを一人占めすることができなくなるのでヤンを逃がしたのだと思います。

 

そんなこんなで疑似クランから逃げ出したヤンはヘンルーダという人間として生きて死んでいきました。

シルベチカが救った命、つまり愛する人が救った命を奪ってしまったキャメリア。

そんなのってないよ!疑似クランにいたってどうせ幸せになんてなれないじゃないか!!

 

・空っぽのヘンルーダクラウス

ヘンルーダの髪型、クラウスと一緒なんですよ。

絶対何か意味があって同じ髪型にしているんだと思うんですけど、それが何なのかは私の空っぽの頭ではわかりませんでした。

ただ2人の共通点を見つけるとすれば、その”空っぽ”というところだと思うんです。

どこまでも自分を押し殺して生きてきたヘンルーダと、ただただ尽きることのない命を呪いながら彷徨い続けるクラウス、どちらも心が空っぽなんですよね。

 

LILIUMではストレートロングのマリーゴールドでしたが、今回のガーベラはロングのくせっ毛でした。

きっと父親譲りなんですよね。

そういうところでも暗に父親がヘンルーダであることを表してるんだなぁと2周目で納得しました。

 

二輪咲き上演当時のめいめいはショートだったので、疑似クランに入る時のマリーゴールドもショートで演じるしかなかったのですが、母も(本人は知らないけど)父も失い、新たにマリーゴールドとしての人生を歩む時に長い髪をばっさりカットしてたらかわいいなぁと思いました。笑

ついでに、LILIUM上演当時のめいめいはストレートロングだったのでLILIUMのマリーゴールドもストレートなのですが、伸びた後にくせっ毛が嫌でストパーかけてたらそれもかわいいなぁと思いました。笑

 

マリーゴールドを買ってもらえない花売り

グランギニョルの時にも街の人々のシーンで花売りさんがいましたが、今回も登場していました。

今回の花売りさんは籠いっぱいにLILIUM登場人物の花を入れてリリーを片手にお花を売ってたんです。

そこまではグランギニョルにもいたなぁくらいにしか思っていませんでした。

しかし、次の街中のシーンにいた花売りさんが片手に持っていたのは、オレンジのような赤のような色をした花、おそらくマリーゴールドです。

そして花売りさんが「どうですか?」と言わんばかりに街の人々に花を差し出すのですが、誰もが顔をしかめて「いらない」と首を振っていました。

みんなから愛されて不老不死となってしまった(選ばれた)リリーと、絶望を背負い化け物と呼ばれ疎まれる(選ばれなかった)マリーゴールド、そういう細かいところも含めて見ごたえのあるお芝居なんです、TRUMPシリーズ。

 

花言葉の歌

お花繋がりでS03「花には言葉がある」についてもちょっと書いておきます。

これは序盤、ヘンルーダがガーベラに同じ名前のガーベラの花束を渡しながら花言葉を教えるシーンの曲ですね。

ヘンルーダが教える花言葉は当然LILIUMの登場人物に乗っ取ったものでした。

カトレアは「好奇心旺盛」とかマーガレットは「わが道を行く」とか、LILIUMを見た人なら思わず頷いてくすっとしてしまうような歌でしたね。

その中にはちゃんと昼顔(ファルス)も出てきます。

ファルスと言わず昼顔と言ったのは、単にファルスでは伝わらないからなのか、あえてファルスというワードを出さないようにしたのかはわかりません。

 

・「我は守護者なり

アナベル、エリカ、ヘンルーダコリウスが歌っていた曲です。

葬送終曲「聖痕《スティグマ》」を明らかに意識して作られていましたね。

曲中ではリリー、スノウ、マリーゴールドの「TRUE OF VAMP」ように歌いながら見つめ合っていました。

メインキャスト4人の歌声が圧巻だったのに対し、死亡フラグをそっと立てていく悲しさもありましたね。

 

共同幻想ユートピア

「一人で生きるには、この世は酷だ。だから同じ夢を見よう」とソフィがガーベラに語りかけていました。

でもその夢はいつか醒めるんですよ。

「いつか夢に見たのは、君と共にいた景色だ。だけど今見る夢の世界は僕だけ」なんです。(虜のペンデュラムに戻る)

いくらウルごっこでウルの代わりを探そうとも、結局ウルはどこにもいないし、ソフィは一人です。

 

ラストシーンの後にガーベラは「共同幻想ユートピア」へ向かうことになるからか、カーテンコール時のBGMも共同幻想ユートピアが流れていました。

 

希望の後に絶望が訪れる「マリーゴールド

そろそろ総括と行きます。

 

この作品、星の轍あたりから周りが泣いているのはわかったのですが、私は泣けなかったんです。

いよいよシリーズに慣れてしまったのかわかりませんが「結末を知っていた」からと「席がクソ遠かった」というのはあると思いました。笑

過去のTRUMP年表を見てマリーゴールドが母親を殺すというのは知っていましたし、ヴァンプに転化というワードが出たのでアナベルがヴァンプ化した時も、まあそうなるだろうなぁと。

末満さんの「純粋にミュージカルを楽しんで欲しい」という言葉は信じないとか言っていましたが、私は見終わった後にその言葉を思い出して納得してしまいました。

シリーズを追っていれば追っているほどストーリーに囚われずにミュージカルを楽しめる作品になっているのかもしれません。

 

座席に関しては私は良席大好きマンなので、自分でチケットを取って2階席なんて初めて座りました。

もう今後初日は絶対に良席取ると心に決めております。笑

あ、あとイケメン!今回美女美声要素はたっぷりでしたがイケメン要素足りなかったです!笑笑

D2が好きな私ですから、結局はイケメンが好きなんです、久々の繭期みっちゃん麗しかった~!

 

そして今回はどちらかというとLILIUMに寄せた内容だったので、シリーズでLILIUMが一番好きな方にとってはかなり嬉しい作品だったと思います。

私もLILIUM大好きなんですが、ストーリーというよりはかわいい曲たちが好きだったんだなぁとわかりました。

心はミュージカル好きなのに体が苦手だと訴えてくるので悲しいです、推しはミュージカル女優なのにね・・・。

次回作は何になるのかわかりませんが、正直なところやっぱりストレートが見たいです。

あととりあえず私はフラ家大好きなので「COCOON」をお願いしたいですね。笑

ウル主人公も気になりますし、グスタフってことは片目が銀色の吸血種にまつわる話ってことですよね?

クラウス・ニコ・ダミアンはおそらく血の戦争あたりの話だろうし・・・本当に1年1作品じゃ全然足りません。

末満さん、繭期の人間たちも永遠パワーでがんばるからどうか長生きしてください。

 

それはそうとして、作品自体は本格ミュージカルとして仕上がっていて、親子の愛をはじめ姉妹の愛も男女の愛もそして何より作品への愛情に溢れる作品でした。

鳴りやまない拍手とスタオベを浴びながら、ステージの中心に堂々と立っているめいめいを見た時が一番感動したんです。

これからももっともっと素敵な女優さんになっていって欲しいし、歌手としても頑張っていって欲しいと思いました。

努力と才能とストイックさで仕事に厳しくプロ意識が高い半面、普段の天真爛漫な笑顔とかわいい話し方も魅力の19歳、どうかよろしくお願いします。

 

「あたしは希望」だと語ったガーベラも「もう泣かないと決めた」マリーゴールドも、「あなたは間違って生まれてきた」と言われたガーベラも「お前なんか、燃えて灰になれ」と言わたマリーゴールドも。

希望の歌を歌った後には絶望が訪れる人生を送りました。

しかしただの絶望で終わらせないのがTRUMP作品です。

ミュージカル「マリーゴールド」も愛を描く作品でした。

 

1万字の論文提出、これにて完了です。

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