舞台「ちるらん」で演出家がバズった話

タイムラインやオタクがざわざわしているので、「ちるらん」の件についての私の見解を書こうと思います。
先に言っておきますが、ひたすら批判を書きたいわけではないので、批判記事をみて共感したい方は、何いってんのコイツ・・・って気分を悪くされるかもなので、お含みおきを。
ただ、この件をひたすら批判だけしている人にこそ読んで欲しいのも事実です。
世の中矛盾でできています。

私自身は、ちるらんについても、Da-iCEについても、何一つ知りません。
この記事はファン目線の話ではないですが、演出家を擁護したいわけでもありません。
しいていえば、演劇オタク目線、といったところでしょうか。

ざっくりとこの件について説明しますと、舞台「ちるらん 新撰組鎮魂歌」(流行りの2.5次元舞台)にて、主演級の役を務めているお二方が所属しているDa-iCEというグループのメンバーが、初日に観劇に来ました(仕込みで)。
そして、舞台の途中で、観劇に来ていたメンバーをステージに上げ、ワンフレーズの歌と共にDa-iCEの新曲を踊ったとのことです。
それを客席から見ていた観客たちは、「世界観ぶち壊しじゃん!ありえない!」と怒り、演出家の岡村さんは、ツイッターにて「おもしれ〜(笑)」と一人で煽り返し、物議を醸しているというわけです。

さて、この件を批判している方は、岡村さんの他の演出作品を見たことがあるのでしょうか?
岡村さんは、つかこうへい作品を筆頭に、様々な舞台の演出を担当されています。

そうは言っても、私も生で見たのは「怪談・にせ皿屋敷」だけなんですけどね。
このにせ皿屋敷は、もちろん役者の力もあるのでしょうが、とても素敵な作品でした。
演出に違和感もなく、怪談が好きではない私でも、良い作品に出られて良かったね、陳内さん!って思えるくらい面白かったです。

ここまで記憶を辿っていて、一つ思い出したことがあります。
それは、にせ皿屋敷でも、「ちるらん」と似たような演出があったことです。
私の後ろに出演者のご兄弟(たぶん芸能活動されている方)が座っていて、舞台の途中でステージ上に引きずられていきました。
なんなら、それとは別に、一般の観客の女性もステージに上がらされていたような気がします。
今回の件と違う点は、観客側からすると、上演中の休憩パートとして、一つのシーンとして、楽しく見られたというところです。

今までの他の公演もそうだったのでは?

ということで、今回の演出も、演出家・岡村さんの常套手段なのです。
ツイッターでも、普段なら、工作員に収集を掛けるのだが・・・という感じの発言があったので、間違いないと思います。

つまり、2.5次元とそのファンをよく知らない(なんなら引き気味っぽい)岡村さんからしてみると「いつも通りの演出なのに、なんでこんな騒いでるんだ?(笑)」といった心情だったのではないでしょうか。
これまで実績がある自分の他の作品も知らず、イケメンしか見てない小娘たちにギャーギャー言われては、反論したくなる気持ちもよくわかります。

でも、ここで素直に反論してしまったのが、岡村さんの最大のミスだと思います。(いつものノリを特殊な世界観を持つ2.5次元に持ってきてしまったのもね)
きっと、心のどこかでは2.5次元とそのファンを下に見ている気持ちがあったんでしょうね。
どんなに観客の意見が気に入らなくても、今回の演出は失敗だったね、配慮が足らなくてごめんね、と一言謝っておけば、ここまで批判されることもなかったのに。
ネットに依存してる世の中でうまくやっていくには、煽り耐性が重要だって、マックス村井さんから学んでおけばよかったのに。

私が好きな配信者の方が、「女性と喧嘩した時は、どんなに相手が間違っていたとしてもとりあえず謝れ」とリスナーの男性に言っていましたが、まさにこのことだなあ、と思いました。

この一連の話で何が言いたいか?
「ちょっとひねくれてるおじちゃんの、いつもの演出だから、休憩時間だと思って気軽に見てあげて><;」って感じですかね。

もちろん、今回の件がアリかナシかでいえば、これだけ批判が出ているのですから、120%ナシです。今すぐやめるべきです。
でも、全否定するのは見てる世界が狭すぎます。
演出家はあくまで演出をつけるだけです。
その演出を昇華させて、舞台上で生きているのは、頑張っているのは、紛れもなくあなたが好きな役者たちなのです。
だから、必死に役にしがみついてる役者たちを見てあげてください。

ドラマや映画は安価で見られるのであまり実感がないかもしれませんが、お芝居というのは、高いお金を払って劇場に行っても面白くなかった時の悲しみといったら、表しようがありません。
だから、今回のように批判したくなる気持ちはわかります。
が、一部の演出が気に入らなくても、それもお芝居の醍醐味だと諦めるのです。

千秋楽まで同じ演出があるのかはわかりませんが、それでも気に入らないが、チケット取ったし行くという方、演出家の場違いなお遊びに付き合ってあげている、と超絶上から目線でいれば、きっと寛大な心を保てます。

どうか、今回の件で、役者の方々に悪影響がないことを祈っています。

2.5次元ファンのあなた、これに懲りず、普通のお芝居も観にいってみてください。